フランセよもやま話 4

【ロスケのパンをくれ】

47年前の鹿児島には「店で焼いて店で売る」というパン屋はまだ数軒。そしてドイツパン自体珍しく、酸味の効いた「ドイツ人🇩🇪仕込み」の父のドイツパンは焼きたてなのに「こや、くさっちょっど(このパンは腐ってるぞ)」なんて言われることもあった。

私が子供の頃、近所に住んでいたカナダ人🇨🇦のファミリーには好評で、自信を持って作っていたものの、父なりの美学により「近所の皆様のクチに合うように」と少しずつ味は変化していった。

ある時、だいぶベテランの男性が店に訪れ、こう言った。「ロスケのパンをくれ」。 ロスケ。。。?よくよく話を聞くと、それは「ろ助」(いわゆる差別用語で恐縮ですが、そのまま書きます。要はロシアの助)。ロシア人🇷🇺野郎、ということだった。

その御老人は、戦時中にロシアで捕虜になっていたらしく、そういう言葉で表現していたのだ。とても辛く厳しい環境の中、その「ろ助」の出してくれる黒パンが楽しみだったという。食のありがたさ。辛いことは思い出したくはないけれど、たまに食べたくなるんだ。と、男性はドイツパンを買って行かれた。

その後定期的に、ドイツパンを買ってくださってたが、いつの間にやら、姿は見せなくなった。そういう時、たぶん旅立たれたんだな、ということを察するわけで、さびしさもあるけれど、こうやって「ロスケ」の話題を置いていってくれた。そんなおはなし。
#フランセよもやま話
#2019年でまるっと47周年 
#家業はもうすぐ100年

#フランセ #パンの店フランセ #パンスタグラム #焼きたてパンフランセ #焼きたてのパンフランセ #パンのフランセ #パン好き #鹿児島のパン屋 #鹿児島 #シェアカゴ #パン好きさんいらっしゃい #パン屋のキッシュ #キッシュ #焼きたてパン #鹿児島のパン #勝手に鹿児島大使
#ベテラン鹿児島 #上荒田 #コラム #物語 #デザイン
#ロシア #カナダ #ドイツ #戦時中 #食のありがたみ

パンの店 フランセ

2025年11月でまるっと53年 同じ場所でパン屋さんしてますと ちびっこ達が大人になり そのまた子供を連れてやってきてくれます 老若男女、素敵なお客様たちがいっぱい そんなみなさまと一緒に成長しながら ここまでやってきました みなみなみなさま、いつも本当にありがとう